Think Real

リアルに考えよう

「お役目は生まれて、子をなし死んでいく」

以前にもブログで紹介しましたが,文筆業,エッセイストのような仕事をなさっている訳でもないのに,素晴らしい文章を書く,福島陽子さんという方がいらっしゃいます。昨夜,お書きになった文章も素晴らしく,さりげなく眺めただけなのに,インスパイアされて,長文のコメントを書いてしまいました。御本人の了解を得て,福島さんの文章と,私のコメントを当ブログに掲載させて頂きます。

コメント中にも書きましたが,昔,椎名誠「スーパーエッセイ」というシリーズがありましたけど,ぐいぐい引き込む文章力,そして,「暴言」の数々は,椎名誠以上かもしれません。昨夜ぱっと閃いて,「スーパー暴言エッセイ」と名付けさせて頂きました。一見すると「暴言」っぽい表現ながら,心の奥底に凜としたものがあることを感じさせる,味わいある文章です。

福島陽子さんのFB書き込み(2012年6月23日)

NHKスペシャルで、「衝撃!卵子が老化」をやっている。なんで現代人はかくもお馬鹿になったのだろう。伝聞と風潮だけで、女性も男性も晩婚化している。お恥ずかしいことに我が息子もまだいいやと言いながら独り身。「思い残すことはありますか」とバカ長男が言ったので「ありますとも!お前たちが生涯未婚、孤独死を迎えることです!もう、嫁をもらえと言わない。看取り人をもらいなさい」「なに?付き合っている女性は35?ああ、卵が腐りかけている」

人手が足りないわけでもなかろうに、女性の社会進出がめざましく、気が付けば30半ば。男性も若いうちの結婚話には相手も乗り気でなく、自らも、まだ、30歳を若いと勘違いして、ズルズルと40近くになる。お前ら、鶏だったら役立たずととうに絞められて、すき焼きになっているのだぞと脅せども効果なし。

人間も動物の原点に立ち戻り、お役目は生まれて、子をなし死んでいく。あとはそのための付随物と思い定めてくれなければ困る。そもそも、若い時でなければ、誤解と勢いと、発情がないのだ。

先代犬はオス嫌いでギャンとオスを追い払っていたが、ある時この時が子孫を残すラストチャンスと思ったか、尻尾を横にしてWelcome!  結局まわりには去勢されたオス犬しかいなかったので、思いは果たせず、寂しく私に看取られたが、同居犬が子犬を産んだ時は甲斐甲斐しく舐めたり、親元に子犬をくわえてやってきたのに、お世話好きと、結婚願望は違うのかしらん。犬の場合。

卵子が老化など、当たり前のことなのに、扶養者控除をなくしてまで、政府は女性よ働けと言っている。非正規雇用などという規制緩和で生み出された低所得階級。産みたくても、二人で稼がねば、家計が持たない。

お母さんである女性を大事にする施策を講じなければ。男女平等参画会議などバカなことをやる前に、人生の原点教育をすべきなんだろう。

かくいう私、母が40の時の子どもだから、卵腐りかけ、細胞分裂もうまく出来ず、身体にあっちこち悪いところを抱えるはめになった。

しかし自らの身体に1個でも腐りかけでも、卵子があれば、今更ながら娘を持ってみたいと願う。

加藤のコメント(2012年6月23日)

昔,椎名誠のスーパーエッセイというシリーズがあったのですけれど,ぐいぐい引き込む文章力,そして,「暴言」の数々は,椎名誠以上の「スーパーエッセイ」です。こういう市井の書き手を掘り起こしたFacebookを,やはり凄いと言わざるを得ません。(たまたまFBがそのポジションに入ったということかもしれませんけど)

「思い残すことはありますか」

という質問はなかなかすごいですね。思い残すことがなさそうに見えるのかもしれないし,あるいは長生きオーラを出しまくっているのかもしれません。いずれにせよ,お達者そうで何よりです^^。

「お役目は生まれて、子をなし死んでいく」

そうですね。そうやって,ここまで進化してきましたから。子をなすこと,そして死ぬこと。最近,ダーウィン入門を始めたのですが,ダーウィンは同時期に発表されたマルサス人口論の影響を大いに受けたとのこと。死ぬ事って重要なのですよね。食料に限りがあるから。生き物のが持つ寿命パラメータは,進化の中で決まってきたと言うことに最近,思い当たりました。子をなし,死ぬこと。生き物と進化の基本原理です。これに気付いて,最近,死とか,寿命とかが少し怖くなくなりました。(コワイですけどね,生存本能で)

「人手が足りないわけでもなかろうに、女性の社会進出がめざましく」

確かにねぇ。いやいや,少子化しているから,足りないはずです。しかし,長期不況,デフレ,そして輸出できるものが減ってきて,仕事が減ってしまっている。就職難と言われる時代。そういう時代だから女性は子育てに励もう。いやいや,社会が曲がり角を迎えていて,この苦境を乗り越えるのに,女性パワーが必要とされているのだと思いますよ。実際,スタバとかカルディ(新興の珈琲豆&輸入食料品チェーン)は体育会系女子力で持っている気がします。そういえば,サッカーもバレーも女子は強いし。

「そもそも、若い時でなければ、誤解と勢いと、発情がないのだ」

確かに。これは真理を突いています。分別付いた男女が,卵子と精子を組み合わせているより,分別付かない雌雄が卵子と精子をぶつけ合う。ここに多様性を産む「進化」の神髄があるのかもしれません。分別ある同士の受精は多様性を産み出さないので,進化上有利でないため,歳を取ると受精しにくくなるのかも。これ,ネタ帳に書き込んでおきます^^。

「しかし自らの身体に1個でも腐りかけでも、卵子があれば、今更ながら娘を持ってみたいと願う」

胸を打つお言葉です。もしかしてお孫さんがいらっしゃらないのでしょうか。もしそうならば,子孫を何としてでも残さねばという思いが募るよう,自然が仕込んだ思考回路が働き出しているのかもしれません。